人類の食文化は、食肉の導入、火の使用、道具の発達により発達しましたが、その結果あごは退化し、頭蓋に対し顔の縮小変化が起きてきています(図5)。
ヒトの進化は約二千万年前、チンパンジーと分かれて以来、ヒトは道具を使い、火を使うという他の動物とは違った食物の摂り方をしてきました。このことはヒトの進化の中でもっとも大きな影響を与えた事のひとつと言われています。約四百万年前の猿人の頃には肉を食べるようになり、栄養を以前より楽に摂ることが出来るようになった。そして、火を使い食べやすく調理することで取った物を短時間で消化できる様になった。顎の骨というのは手や足の骨の様に運動することによって、筋肉は太くなりそれによって動かされる骨も太くなるのです。
ですから、逆に短時間に食物を消化できるようになってきたということは、上の図を見てもお解かりのように、進化するにつれ頭に対しての顎の割合が小さくなるということです。勿論、三百万年前に二足歩行するようになって、頭のバランスをとれる様に後頭部が発達したこともこの割合を小さくしている要因といえますが、ヒトの進化は脳の発達と顎の縮小化が起きるべくして起きていることなのかもしれないのですが、こららの変化は、何百万年あるいは、何十万年という長い年月の間に起きてきた変化なのです。近年のファーストフードに代表される食物は栄養補給だけを目的とし、咀嚼というものを無視した為、顎の縮小化が急激に進み、この後にご説明する“かむことの効用”が得られなくなってきているのです。また、歯の大きさも小さくなっているといわれておりますが、近年の急激な食事時間の短縮による顎の縮小化には追いつかないようです。このような理由から現代の子供さんに歯並びの悪い方が多いのがご理解いただけると思います。
現代食の咀嚼回数及び食事時間は620回で11分。実にこれは弥生時代の1/6にあたり、さらに驚くことに昭和10年頃の約1/2ということです。たった60年もの間での変化としては人類学上からも、異常なことで、それを考えると顎に起きてきている変化がまわりの骨や歯との間に差が出てくるのも当然のことと言えます。
■なぜこのようになったかは想像つくところですが、噛むことがなぜ大切か?
咬むことの効用
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