はじめに
一般に口と言いますと、唇(口唇)若しくはその周囲を指しますが、特にその内側にある組織を 総称して口腔と呼んでおります。私達にとって口は食べ物を食べるだけでなく、相手に気持ちを伝える言葉を発声したり、歌をうたったり、表情を作り出すのに欠かせない働きをしています。このような働きは、いろいろな器官が集まり、それが複雑に組み合わさって、はじめて機能します。その働きの中でも消化器官としての働きは、塊として入ってきた食べ物を消化しやすいように小さく砕き、そして分解するという生命を維持するのに最も大切な働きをしていると言えるでしょう 。
口腔の消化器官としての主な働き
歯・・・咬みきり、すりつぶし、ひきさく等の咀嚼機能を直接する
舌・・・対向面硬口蓋に押しつけ粉砕する
食物を歯で咬める様に移動させたり、唾液と混ぜ合わせる
味を感じたり物の大きさを感じ、のみ込むかどうか決める
唾液腺 (顎下腺、耳下線、舌下腺より分泌される)
・アミラーゼにより炭水化物(でんぷん、ショ糖)を分解する
・リゾチームは細菌を死滅する、抗炎症作用、治癒作用、
出血抑制作用がある
・ペルオキシターゼは細菌の発育抑制作用がある
・リパーゼにより脂肪を分解する
筋 (咀嚼筋、口輪筋、頬筋)
・咀嚼運動をする
以上のような重要な働きをしてくれる口ですが、残念なことに学校生活の中で脱臼、破折などで歯を失う児童、生徒が毎年おります。事故による歯牙障害は仕方ない事としましても、歯は一本でも失いたくないものです。また、日本歯科医師会では“8020運動”、厚生労働省では“健康日本21”の12歳DMFT指数の1以下という目標を掲げています。そこで、歯科医の立場から子供の歯、そして全身及び歯並びに影響を与えるものとは何かをお話しましょう。
注 DMFT指数とは一人平均における虫歯になった本数(治療済みの歯、抜けた歯も含む)
(横浜市学校保健会旭支部総会と旭区幼保小交流事業講演からの抜粋)
1)歯と虫歯 2)歯周病 3)あごの退化と咬むことの効用 4)不正咬合
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